個別指導塾や家庭教師で中学生の社会科の授業を担当している人に向けて、分かりやすい教え方のヒントになるような話しをします。
「社会科=暗記」というイメージをお持ちの人が多いと思います。もちろん間違いではありませんが、厄介なのはアナタが教える立場になったときです。
塾や家庭教師で講師になられる方は、たいてい暗記力があり、テスト週間にノートやワークを丸暗記して点数をとれたのではないでしょうか?
いきなり社会科を教えることになった場合、まず何をすればいいのか分からない。
「これ大事!暗記ね」と言えばいいのかな?でもそれでお金とっていいのかな?
なんて悩むわけですよ。
教えた経験がない人に聞いても時間のムダ
悩んだすえに塾長や本部の人に質問するわけですが、明確な回答をもらえることは少いでしょう。なぜなら「教えたことがないから」。
フランチャイズの個別指導塾の塾長さんは、脱サラの人が多いです。教育畑に全然いたことない。マーケティングなど、商売の知識や経験は豊富だけど、教務になると全然知らない人が多いのです。
ぶっちゃけ、教えた経験ない人、多すぎる(悲)
本部の人も同じ。室長経験はあるけど、教えたことはない人がほとんどです。SV(スーパーバイザー)なんて肩書をつける会社が多い。本当に「スーパー」なのかは個人差がありますけどねw
中には社員全員、教務に必ず関わらせる塾もありますけどね。
※「脱サラして、塾を開くことが悪い!」という気持ちはサラサラありません。
むしろ社会経験を教育の場で伝えることができるわけで、子どもたちにとってプラスだと思ってます。
問題なのは指導経験のない講師に対してのフォローが、室長なり本部のシステムできちんと出来ているのかということです。
全部の個別塾とは言いませんが、講師頼みになっている所は多いと感じてます。
こういう状況ですから、ある意味塾業界で生き残るのは大変です。熱心な人ほど割に合わない商売だと感じる人も多いと思います。
なので、わたしの経験から、何かヒントになることをお持ち帰りいただければと♪
中学生に社会科を分かりやすく教える方法
1.説明のリズムは単調にならないように。抑揚をつけること
単調に読み上げるよりも、抑揚があってメリハリがあるほうが、同じ文章を聞いたとしても印象が違います。ジャパネットの前社長の、テレビでの話し方が非常によいお手本になります。
2.テストに出やすい部分をレベル分け
社会化は覚えないといけない用語だらけ、マイナスの印象を持っている子がほとんどです。
「これはテストに出やすいから大事だよ!」
塾講師や家庭教師の経験が浅いと、学習内容のほとんどが重要という説明になりがち。気づいたらテキストのほとんどがマーカーだらけ。
こんなことにならないように、「重要のレベル分け」をすることです。
絶対覚えておいて損はないもの、覚えておくといいことがあるかも、など。
一度の説明で、生徒が全部理解するとは思わないことです。事前に、ここだけは絶対覚えてもらうぞ!という部分を決めておくことが大事です。
超重要事項は1回の授業だけでなく、覚えるまで何回もふれてください。ポイントは講師の口から言うだけでなく、子どもに言わせたり書かせたりすることです。
音だけだと右から左に受け流す子が多いですから。口頭でクイズ形式で復習するのも良いでしょう。ただし書く練習もしておかないといけません。定期テストでは漢字指定で出題する先生もいますから。
なので担当生徒が通う中学校の定期テストの過去問チェックを事前にしておかないと、良い授業はできません。
3.「対比」する
人は比較が大好きです。あそこの店のほうが安いとか、iPhoneとエクスペリアの違いとか。社会科にも応用しましょう。
例えば歴史で「聖武天皇」と「桓武天皇」がいますが、この2人を比較するのです。
生徒にとって「武」がつく似たような名前なので、覚えにくいので、比較することで印象を強くもってもらうのです。
聖武天皇は「奈良時代」、桓武天皇は「平安時代」
聖武天皇は「仏教パワー炸裂の人」
桓武天皇は「平安京に遷都するなど莫大な権力を持っていた最強天皇」
専門家に怒られるかもしれませんが、少し脚色が強くなっても良いので
生徒に少しでも記憶に残るような人物設定にするのです。
4.重要年号を暗記させる
年号を覚えさせると、子どもの頭の中で歴史の枠組みが作りやすくなります。
「流れが重要!」という意見もありますが、全てを「原因と結果」で話すのは困難ですし、子どもの集中力も続きません。
入試で年号そのものを答えさせることはありません。定期テストだとありえますが。とはいえ、年号を覚えておくだけで理解の手助けになることは間違いありません。
1回の授業で年号を1~2個紹介しても、テストまでに最低でも10個は暗記させられます。何を覚えさせるかは、前もって決めておきましょう。本屋さんに行けば、語呂合わせのテキストが売ってます。
注意事項としては、全てを語呂合わせで対処しなくても良いということです。覚えることをできるだけ減らすことも講師の仕事です。
例えば、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦は10年ごとに起きた出来事です。
1894年→1904年→1914年ですから。なので3つのうちの一つを暗記すれば十分なわけです。
5.教科書を持参させる
地理、歴史、公民、社会科の教科書は文字だけではありませんよね?
図やグラフ、挿絵が掲載されてます。これらの資料が期末テストでは出題されることもあります。
家庭学習で全然チェックしてない子も多いです。授業中に一緒に確認してみましょう。
6.通説と逆の説明をする
これは歴史の授業に効果的です。一般的に言われてることと逆の説明をすることで印象深くします。
例えば江戸時代に「田沼意次」がでてきますよね。
ワイロ政治の悪い人というイメージで語られやすいですがその見方は本当に正しかったのか?
当時の状況をふまえて田沼の政治を語ると、また違った見方ができます。
7.「要点+問題」形式のテキストを利用する
個別指導や家庭教師の場合は、集団授業のように板書したり説明ができません。
大事な部分は書いて説明するとしても、全ては書けません。
なので生徒にテキストをもたせることが必須です。
大事な部分は、説明+マーカーですすめて、残りは生徒に調べさせながら問題をとかせる進め方が一番失敗しません。
講師がなにをどのように説明すべきかは、noteで公開中です。個別指導15年の経験で、こういう考え方で授業を作ると効果的なポイントをまとめました。
8.学校のノート、プリントを確認する
期末テストは中学校の先生が作ります。生徒がどんなことを習ってるのか?
そこを正確におさえておく必要があります。
もちろん教科書からテストはでるわけですから準拠教材をやっておけば間違いないとも言えます。
しかし、それは暗記が得意な子どもにしか有効ではありません。
社会科が嫌い、苦手な子どもには、一番出題されやすいものを何度も何度も伝えて、期末テストまでに暗記させないといけません。
出題される可能性が高いものを分析するには授業のノートやプリントが最高の資料です。(受験対策なら高校入試の過去問)
9.【3分の感覚】を身につける
社会科の授業をするとき、説明しないといけませんよね。何分でひと区切りするか、きちんと意識してますか?
講師と生徒のテンションは全然違うので注意してください。社会科が嫌いな子もいますので、長々と話すと苦痛だけがたまります。
仮に自分が興味のない話しを3分されたとしましょう。それだけでかなりのストレスがたまると思いますよ。
3分とは短いようで、興味のないことは以上に長く感じます。逆に言えば、3分あればいろいろな話しをすることができる
ということです。
なにを話すかは、思いつきではなく計算しないとダメですけどね。
まずは3分の感覚を体に覚えさせましょう。生徒の興味関心を高めるスキルが身についてきたら5分までで一区切りすると良いです。
10.ネタを仕入れる
中学生に社会科を教えるにあたり、一番苦労するのが「歴史」
地理は、歴史よりは身近な内容なので、まだマシ。
公民は、テストの点数が取りやすいので、好きになる子が多い。
いかんともしがたいのが「歴史」です。
- はるか昔の、自分には全く関係ないお話(興味ない)
- 歴書の教科書を開いただけで眠くなる
- 小学校の授業がつまらなくて大嫌いになった
↑マイナスの固定観念のせいで、教える前から不利な状態です。
これでは「聞く耳」さえ持ってもらえません。
少しでも歴史を身近に感じてもらえるネタをストックしておきましょう。
授業で使えそうなネタを見つけたら、都度メモしておきましょう。
生徒の反応をみながら、ウケの良いもの、悪いもの、とレベルわけしていきます。
ネタ集め、最初の1冊目にオススメなのは「東大教授がおしえる やばい日本史 」
偉人をおもしろおかしく語るといのは、一歩間違えると「個人の誹謗中傷」にもなりかねません。
ただ、「偉人も現代人も、軸になる部分は同じ!」と気づいてもらえる効果は大きいです。
・「歴史=自分には関係ない」という壁を壊せる。
・テストにはでない話でも、人物を覚えるためのフックになる
藤原道長は糖尿病(推定)だったとか、妻(北条政子)の尻に敷かれる源頼朝
おじいちゃんやおばあちゃんが糖尿病という子、お母さんに頭が上がらないお父さんをもつ子もいるでしょう。
こういうネタを「「東大教授がおしえる やばい日本史 」で集められます。
さいごに
具体的な授業の作り方をnoteで公開中です。興味のある方はご覧ください。
目次
【第1章】講師のシゴトは「用語の説明」ではない
1-1.用語を1個ずつ丁寧に解説しない
1-2.ストーリー=5分以内
1-3.これでもかとポイントを明確にする
1-4.【授業例】奈良時代
1-5.まとめ
【第2章】生徒に点をとらせるのがシゴト
2-1.心のブレーキを外してあげる
2-2.ミニテストの作り方
【第3章】記憶に残すテクニック
3-1.生徒に身近なものと歴史をつなげる
3-2.規則性をみつける
3-3.強引でも記憶に残れば立派な暗記法
3-4.【授業例】徳川家光と参勤交代
3-5.ハートにうったえる
3-6.【授業例】西郷隆盛と西南戦争